【第8話】 《 人間チャーシュー!》
2000年の秋だったと思うのですが、NHKホールで行われたキム・ヨンジャさんのリサイタルに、ザ・ジョイフルブラスはゲストとして出演させてもらいました。本人との絡みで2曲程伴奏させてもらいましたが、曲は演歌ではなく、ポップス調のものだったのでホッとしました。
当日のリハーサルで舞台監督から、ヨンジャさんの衣裳替えの間、何か1曲演奏して欲しいと頼まれました。初めリーダーはメンバーが暗譜しているジャズのスタンダードナンバーを選びましたが、演出の岡先生から、もっと派手で動きがあるものないの?と、注文されてしまったんです。
んー、それならばとスクールコンサートのオープ二ングでやっているロック・アラウンド・ザ・クロックを演奏してみることにしました。これには振りやステップなどがあり、見た目には派手に見えるはずです。すると、「タイムも丁度いいしー、その曲でお願いします〜。」との事でこれに決定。
この曲の振付けにはトランペットのアドリブのバックでチューバの僕だけが、吹きながらクルクル回るという部分があるのですが、実はさっきのリハーサルでは略いてしまいました。というのは、マイクのセッティングがいつもと大分違っていて、体に絡み付きそうだったからなんです。
通常、マイクはスタンドに付けるか、もしくは小さなマイクを楽器のベルに取付けて電波で飛ばすというのが多いのですが、今回はゲストが多い為に電波式の回線数が足りなくなり使えなくなったばかりか、演出上の理由でステージ上にマイクスタンドが置けなくなってしまったらしいのです。
困った音響さんは苦肉の策として、舞台袖からずーっと長いコードを引っ張ってきて小型マイクを楽器のベルに付ける、というめずらしい作戦にでた訳です。
かくして天下のNHKホールでの本番は始まりました。コンサートも盛り上がってきた中盤、さっそーとジョイフル登場!・・・し・しかし、全員まるで鵜飼いの鵜みたいに長ーいヒモツキ!!でもこんな事でひるむ百戦錬磨のジョイフルではありません・・・。いざ張り切って演奏開始!これがまた物珍しさも手伝ってか意外にウケている様子。手拍子なんかも来ています・・・。
永らくお待たせしましたー!ここで皆さんお待ちかねの事件発生!やっぱり〜!
お客さんの反応が良かったので、ついついノリノリになってしまった僕は、例の部分もいつもの様にクルクル回ってしまったんです!すると、お客さんからすかさず拍手と歓声が・・・(そりゃーあんなデカくて15キロもあるもの振り回しているんだから〜ね〜)。
こうなるとミュージシャンの性でしょうね、エスカレートしてしまい、な・何と!いつもより多く回ってしまいました〜!。・・・気付くと、マイクコードが体中グルグル巻き付き、まるで巨大なチャーシューのようになってしまいました!!!クーッ!
ちなみに、そのリサイタルの模様はNHK-BSで放送され、日本クラウンからDVDも発売されましたが、その部分はカットされていました・・・。「ああ・・・幻の人間チャーシューの巻、これにて終演とあいなりまする〜。お後がよろしいようでー。」